オンラインPvPゲームをプレイする場合、ネット回線は安定性を確保するために『有線接続』が基本ですが、なんらかの事情で有線接続が困難な場合があります。
- 固定回線のONUやモデムが離れた部屋にある。
- 壁内配線の設備が整っていない。
- 部屋をまたいで廊下を超えてのLAN長距離敷設はカッコ悪いし邪魔。
- 新たに埋め込み工事をするのは費用が高いし工事の立ち合いが面倒。
- そもそも賃貸だから工事は出来ない。
これらの悩みを解決するため、ここでは『工事不要』『長くて不格好なLANケーブル不要』の裏技的有線接続モデム「同軸ケーブルモデム」を紹介します。
無線LAN接続のデメリット
一般的に無線LAN接続は有線LAN接続に比べて「回線速度が速い」「場所を問わない」などのメリットがありますが、オンラインゲームなどの速度よりも安定性が重要になる局面ではPIN値(サーバーからの応答速度)が大きくなったり、パケットロスが増えたり、接続速度が不安定になったりなどの問題で、プレイ中の回線落ちやラグが付きまといます。
これではプレイ中の他のユーザーに迷惑ですし、プレイ配信などをする方であれば視聴者側のストレスになって視聴をやめられてしまうかも知れません。
そこで自室のPCまで有線LANを敷設したいと考えた結果、冒頭で挙げたような有線LAN化の悩みにぶち当たるわけです。
既存のTVアンテナ配線を活かせる同軸ケーブルモデムですべて解決
TVアンテナ端子と同軸ケーブル
壁内を通って各部屋にLANケーブルが敷設されているような設備は比較的新しい戸建てやマンションに限られると思いますが、TVアンテナならよほど古い建物じゃない限りわりとどの部屋にも配線されています。
この端子から端子、端子からTVまでを繋ぐアンテナ線が『同軸ケーブル』です。
そしてこの同軸ケーブル、実はTVアンテナ専用では無く、インターネット回線の通信にも使用できるんです。しかもTVアンテナ信号と同時に使用することも可能な万能ケーブルだったんです。
既設のアンテナ配線と同軸ケーブルモデム
一般的な戸建ての場合、TVアンテナから受信した信号は
『屋外TVアンテナ』→『分配器』→『各部屋』
という順番で各部屋へ届けられます。
部屋にTVアンテナ端子があるということは、すでに各部屋(端子のある部屋)を繋ぐ壁内アンテナ線が張り巡らされているということでもあります。
この既存の配線を利用して、TVアンテナ信号と共存してインターネット回線を利用できるのが『同軸ケーブルモデム』。だから工事は不要。
同軸ケーブルモデムは簡単に言えば既存のTVアンテナ線にインターネット回線の信号を同時に通すための装置です。
そして、各部屋へ同軸ケーブルで届けられるインターネット回線をLANケーブルに再度変換する際にも同軸ケーブルモデムを使用します。
接続イメージはこんな感じ。
実際には壁内~分配器周辺の配線はテレビ用のものを使用するので『ルーターから同軸ケーブルモデムを通して壁のTVアンテナ端子へ』『壁のTVアンテナ端子から同軸ケーブルモデムを通してPCへ』の2点の接続だけでインターネット回線を離れた部屋まで簡単に引くことが出来ます。
ルーターからのLANケーブルのひとつをハブに繋ぐのと同じようなイメージなので、もちろん元のルーターの機能(無線LANや別線でのLANケーブル分岐など)はそのまま使用可能です。
同軸ケーブルモデムのメリットデメリット
実際に使用して感じるメリットデメリットも書いておきます。
同軸ケーブルモデムのメリット
工事不要。不格好なケーブル露出も無し。
一番はまさにコレ。
私がLAN敷設を考えた時に一番頭を悩ませた項目であり、この問題を一発で解決できることが同軸ケーブルモデムを選んだ理由です。TVアンテナ端子さえあれば解決可能なのになぜこの方法がマイナーなのか不思議に思っているくらいです。
10mを超えるようなLANケーブルを買って廊下をクネクネ這わせて、せっかく繋がったのに足を引っかけてブチッ!ってことも起こりません。
TVと共存してもTVもネットもノイズ無し。
配線が共有になるので使用前はちょっと心配でしたが、TVもネットも不安定になることなく完全に安定しています。導入して3年以上経ちますが不具合も不安定さも全く感じません。
同軸ケーブルモデムのデメリット
実行速度は『UDP95Mbps/TCP70Mbps』
デメリットの一つ目は実行速度の上限。
UDPで95Mbps、TCPで70Mbpsまでが同軸ケーブルで転送できる上限速度となります。
ただし、デメリットとは言っても使っていて不満に感じることは全くありません。
ネット閲覧も動画視聴もライブ配信も、数十Mbpsの速度があれば全く問題無く行えます。
オンライン対戦ゲームの通信に至っては数Mbps程度の速度があれば問題なく、速度よりも有線接続の安定性のほうが何倍も大きなメリットになります。
スマホやタブレット、ノートPCその他ガジェット系は無線LANでルーター接続、ゲーミングPCのみ同軸ケーブルモデムを使用した有線LAN接続で「抜群の安定感」という恩恵を受けています。
モデムの価格がちょっと高いかも
一番のデメリットはこれかな、と思います。
同軸ケーブルモデムを一般家庭向けに商品化しているメーカー自体が少ないので、価格競争が生まれにくいせいで選択肢が狭く、割高感もちょっとあります。
Amazonで一台当たり約¥12,000。
使用するには親と子で最低2台必要なので、約¥24,000程度の出費になります。
ちなみに接続する部屋を増やす場合は子機を買い足す感じでOKです。
(同じ製品で親機と子機どちらの役割でも使えます。)
費用的には
・【安い】長いLANケーブルをルーターから目的の部屋まで這わせる。
・【2〜3万】同軸ケーブルモデムを2台導入。
・【高い】業者に頼んで壁をぶち抜いて壁内LAN敷設工事。
という選択肢になるでしょうか。
LAN配線の新設工事
大元のルーターから目的の部屋まで、すでに壁内に配線用の配管が通っている場合はDIYすることも可能です。参考になりそうな記事はこちら(外部サイト)。
壁内の配管は通っているが自分で出来る自身がない場合や、そもそも壁内の配管が通っていない場合は業者にお願いすることになります。
配管ありの場合は比較的安く済みますが、配管が通っていない場合は屋外を通して…とか。
費用は状況によりピンキリですが、見積もり系サイトを見る限りでは4万〜8万くらい。
この中なら、選択肢の一つとして同軸ケーブルモデルもかなりアリだと思います。