2022年9月30日に発売されたAMD Ryzen 7000シリーズ。
ラインナップの中ではもっとも販売数を伸ばすであろうミドルスペック帯に位置するRyzen5 7600Xの導入コストを新旧モデルで比較してみる。
Ryzen5 7600X CPU単体の新旧簡易比較
Ryzen5 7600X | Ryzen5 5600X | Ryzen7 5800X | |
世代 | Zen4 | Zen3 | Zen3 |
コア/スレッッド | 6/12 | 6/12 | 8/16 |
クロック/最大 | 4.7/5.3GHz | 3.7/4.6GHz | 3.8/4.7GHz |
L2キャッシュ | 6MB | 3MB | 4MB |
L3キャッシュ | 32MB | 32MB | 32MB |
TDP | 105W | 65W | 105W |
最大温度 | 95℃ | 95℃ | 90℃ |
製造プロセス | 5nm | 7nm | 7nm |
対応ソケット | AM5 | AM4 | AM4 |
グラフィックス | Radeon Graphics | – | – |
付属クーラー | – | Wraith Stealth | – |
対応PCIe | 5.0 | 4.0 | 4.0 |
対応メモリ | DDR5 | DDR4 | DDR4 |
価格 | ¥49,900 | ¥28,800 | ¥39,731 |
Ryzen5 7600Xの販売価格は49,900円。
円安(販売時点で145円/ドル)の影響なのかミドルスペック帯にしてはかなり高めの印象。(海外価格は$299)
特徴としては5nmプロセスに進化したZen4コアアーキテクチャを採用している点、またPCIe5.0対応、DDR5メモリ対応などが挙げられる。
そして対応ソケットがRyzenシリーズを長く支えたAM4ソケットからAM5に変更されているため、導入のためには周辺パーツを含めた大幅な構成変更が必要となる。
性能面については、AMDの発表に従えばゲーミング性能ではIntelの最上位モデルであるCore i9-12900Kを5%程度上回るとされている。
また事前(日本発売前の海外計測値より)のCinebench計測によれば旧モデルの同グレードであるRyzen5 5600Xよりもシングルスレッドで30%程度、マルチスレッドで40%程度上回る。
旧モデル上位グレードであるRyzen7 5800Xとの比較ではシングルスレッドで20%程度上回り、マルチスレッドでは3%程度下回るとする結果が出ている。
Ryzen5 7600X 導入コスト比較
Ryzen5 7600Xを導入するにあたってはCPU単体の価格だけではなく一新されたAM5ソケット対応マザーボード及びDDR5メモリも合わせて導入する必要があるため、これらを合わせた導入コストを比較してみる。
なおRyzen5 5600Xからの比較では定格電力も上がっている(65W→105W)ため場合によっては電源ユニットの換装も必要となるがここでは割愛することとする。
その他共通で使用可能なパーツも割愛する。
Ryzen5 7600X | Ryzen5 5600X | Ryzen7 5800X | |
CPU | ¥49,900 | ¥28,800 | ¥39,731 |
マザーボード※1 | ¥60,980 (X670E SteelLegend) | ¥23,980 (B550 SteelLegend) | ¥23,980 (B550 SteelLegend) |
メモリ32GB※2 | ¥30,400 (Corsair DDR5) | ¥14,840 (Corsair DDR4) | ¥14,840 (Corsair DDR4) |
TOTAL | ¥141,360 | ¥67,620 | ¥78,551 |
※1
対応マザーボードの価格はモデルによって異なるため、ここでは比較的リーズナブルな『AsRock SteelLegend』シリーズを例に比較。
同メーカー同グレードの対応ソケット違いとして比較している。
▶ASRock X670E Steel Legend 詳細ページ(ドスパラ)
▶ASRock B550 Steel Legend 詳細ページ(ドスパラ)
※2
メモリは32GB(16GB×2)を搭載するものとし、同メーカー規格違い比較の意味でCorsairのDDR5/DDR4メモリを例にしている。
▶Corsair CMK32GX5M2B5600Z36 (DDR5 PC5-44800 16GB 2枚組) 詳細ページ(ドスパラ)
▶Corsair CMK32GX4M2A2666C16 (DDR4 PC4-21300 16GB 2枚組) 詳細ページ(ドスパラ)
事前のCPU計測結果ではそこまで性能差がなかったRyzen5 7600XとRyzen7 5800Xの比較でも導入コストではおおよそ6万円という大きな差がつく結果となった。
もちろんPCIe5.0やDDR5メモリによる差など、Ryzen 7000シリーズに付随する規格差がCPU計測には現れない性能差を生むことは充分に考えられるため性能面で『同等』と評価することは出来ないが、2022年現在のゲーミングシーンに置いては今回の比較の中で最下位グレードとなるRyzen5 5600Xでも不足のない性能を有していることは間違いない。
その上で価格差をどこまで許容するか、どこまで最新にこだわるかでパーツ選択は変わってくる。
正直、最新にこだわらなければRyzen7 5800Xを軸に構成するのがコスパの面でかなり優れているようにも思う。
Ryzen5 7600X 搭載モデルのゲーミングPCで比較
最後に新旧Ryzenを搭載したゲーミングPCの価格を比較する。
比較するゲーミングPCはBTO国内最大手のドスパラ『GALLERIA』シリーズ。
GALLERIA ZA5R-R37 7600X搭載 | GALLERIA XA5R-R36T | GALLERIA ZA7R-R37 5800X搭載 | |
CPU | Ryzen5 7600X | Ryzen5 5600X | Ryzen7 5800X |
GPU | RTX3070 | RTX3060Ti | RTX3070 |
メモリ | DDR5 16GB | DDR4 16GB | DDR4 16GB |
ストレージ | 1TB Gen4 NVMe SSD | 1TB NVMe SSD | 1TB NVMe SSD |
価格 | ¥319,980 | ¥209,980 | ¥249,980 |
Ryzen5 5600X搭載モデルのみグラボはRTX3060Tiとなっている(他はRTX3070搭載モデル)が、それぞれのPCの価格差は前述のパーツ構成による導入コストの試算と概ね同じ価格差となっている点に着目して自分に適したスペック、価格帯のゲーミングPCを選びたい。
▶GALLERIA ZA5R-R37 7600X搭載 詳細ページ(ドスパラ)
▶GALLERIA XA5R-R36T 詳細ページ(ドスパラ)
▶GALLERIA ZA7R-R37 5800X搭載 詳細ページ(ドスパラ)