GPUシェアのトップ2であるNVIDIAとAMDが展開する「AI技術を用いたフレーム生成機能」について、ハードウェアの適用要件を比較していきます。
フレーム生成とは
映像のフレームとフレームの間にGPUのAI技術を用いて後加工として中間フレームを生成して差し込み、実際の映像よりも滑らかに見せかける機能、技術のこと。
各フレーム生成機能の対応表まとめ
DLSS 3.5 フレーム生成 | FSR 3 フレーム生成 | AFMF 2 | |
---|---|---|---|
対応モデル | NVIDIA GeForce RTX4000シリーズ | AMD Radeon RX6000シリーズ以降 NVIDIA GeForce RTX3000シリーズ以降 | AMD Radeon RX6000シリーズ以降(フルスクリーンモードのみ) AMD Radeon RX7000シリーズ、AMD Ryzen 7000シリーズAPU以降(ボーダレスモードも可) |
ゲームタイトル | 対応タイトルのみ ※400タイトル以上で利用可能 | 対応タイトルのみ ※約80タイトルで利用可能 | 対応不要 |
NVIDIAのフレーム生成【DLSS 3.5】
NVIDIA GeForce RTXシリーズに搭載されるDLSS(Deep Learning Super Sampling)機能は、AI技術を用いてゲームのグラフィックやフレームレートを強化する機能です。
DLSSには大きく分けて以下の3つの機能が含まれます。
【アップスケーリング】
低解像度の画像をもとに高解像度の画像へアップスケーリングする。
【フレーム生成】
中間フレームを生成し映像を滑らかにする。
【レイ再構成】
光線計算により描画される画質を補完強化する。
なおDLSSにはバージョンがあり、それぞれの機能と現行モデルの対応表は以下のようになります。
アップスケーリング | フレーム生成 | レイ再構成 | |
---|---|---|---|
DLSS 3.5 | 〇 | 〇 | 〇 |
DLSS 3 | 〇 | 〇 | ✕ |
DLSS 2 | 〇 | ✕ | ✕ |
DLSS 3.5 ハードウェア対応表
DLSSの各機能を有効にするためには対応するGPUを使用する必要があります。
アップスケーリング | フレーム生成 | レイ再構成 | |
---|---|---|---|
対応モデル | RTX2000シリーズ RTX3000シリーズ RTX4000シリーズ | RTX4000シリーズ | RTX2000シリーズ RTX3000シリーズ RTX4000シリーズ |
ちょっとややこしい話。DLSSはバージョンが進化する毎に機能を増やし強化してきましたが、DLSSバージョンは各RTXシリーズと1対1で対応するものではなく、進化した機能をそれぞれのRTXシリーズに適用しアップグレードしてきたという関係性にあります。
例えばDLSS3.5は2023年8月に発表され、この時追加されたレイ再構成技術は既存のRTXシリーズ全般に適用されましたが、フレーム生成技術はハードウェアの構成上RTX4000シリーズにしか適用されないこととなっています。
AMDのフレーム生成【FSR 3】
AMD Radeonシリーズに搭載されるFSR(AMD FidelityFX Super Resolution)機能もNVIDIAのDLSSフレーム生成と同じくAI技術を用いてグラフィックやフレームレートを強化する機能です。
なおNVIDIAのDLSSがTensorコアを搭載したRTXシリーズでしか使用できないのに対し、AMD FSRはAMD製GPU、NVIDIA製GPUを含むより多くのGPUで使用可能な機能となっています。
FSR 3 ハードウェア対応表
アップスケーリング | アップスケーリング + フレーム生成 | |
---|---|---|
推奨モデル | AMD Radeon RX 5000 シリーズ以降 NVIDIA GeForce RTX 20 シリーズ以降 | AMD Radeon RX 6000 シリーズ以降 NVIDIA GeForce RTX 30 シリーズ以降 |
サポート対象 | AMD Radeon RX 500 シリーズ以降 NVIDIA GeForce GTX 10 シリーズ以降 | AMD Radeon RX 5000 シリーズ以降 NVIDIA GeForce RTX 20 シリーズ以降 |
なお注釈として、フレーム生成のパフォーマンスはGPU性能に依存するため、最適な効果を得るためにはフレーム生成が適用される前の状態でサポート対象のゲームを60fps程度で実行できる性能が必要になります。
上表でフレーム生成の欄が「推奨モデル」「サポート対象」に別れているのはこのためで、充分な効果を得るためには「推奨モデル」の条件を満たすことが重要になります。
AMDのフレーム生成【AFMF 2】
AFMFはAMDのグラフィックカードで利用できるフレーム生成技術で、ゲームタイトル側での対応を必要としないため機能を適用できるタイトルが多いことが特徴です。
DLSSやFSRと比べてより性能の低いGPUでもフレーム生成の恩恵を受けられる反面、フレーム生成の過程で生じる入力から応答までの遅延が比較的大きいというデメリットもあります。
遅延自体は微々たるものですが、入力からの反応がシビアに問われるジャンルのゲームに於いては不向きな場合もあるかも知れません。
※遅延の程度はゲームタイトルやハードウェア構成によって変化しますがおおよそ1/10~1/100秒程度とされています。
AFMF 2 ハードウェア対応表
ボーダレス/フルスクリーンモード | フルスクリーン専用モード | |
---|---|---|
対応モデル | AMD Radeon RX 7000 シリーズGPU以降 Radeonグラフィックス搭載 AMD Ryzen 7000 シリーズAPU以降 | AMD Radeon RX 6000 シリーズ |
MonsterHunterWildsの推奨環境について
2025年2月にローンチ予定のMonsterHunterWildsでは、公式が発表した推奨環境において
アップスケーリング及びフレーム生成機能を用いてフルHD解像度60fps
のパフォーマンスが指標となっており、ゲーム動作が非常に重いのでは?と話題になっています。
推奨環境の注釈には
超解像技術は、NVIDIAのDLSS3.5とAMDのFSR3.0に対応。
アップスケールおよびフレーム生成は、DLSS3.5、FSR3.0を使用した状態で測定しています。
という記述もされている通り、今後のPCゲーム環境においてこれらの技術が補完、補強目的ではなくスタンダード技術になっていく可能性も高まっているのかも知れません。
フレーム生成機能を使用可能なゲーミングPCの例
GPU検索から各社のゲーミングPCを選んでいく方法もありますが、ドスパラでは「フレーム生成対応ゲーミングPC」として特集ページを組んでいます。
是非ゲーミングPC選びの参考にしてみてください。