2023年10月17日、Intel第14世代core『Raptor Lake Reflesh』が発売されました。
開発コード上は第13世代coreの「Raptor Lake」に対して第14世代が「Raptor Lake Reflesh」と名付けられているため、基本設計を踏襲したマイナーチェンジ版であるかのように見受けられますが、実際はどの程度のスペックアップを果たしているのか見ていきます。
Core i9-14900K(F) スペック
i9-14900K(F) | i9-13900K(F) | i9-13900KS | |
発売日 | 2023年10月 | 2022年10月 | 2023年1月 |
開発コード | Raptor Lake Reflesh | Raptor Lake | Raptor Lake |
製造プロセス | 7nm | 7nm | 7nm |
コア数 | 24(P8,E16) | 24(P8,E16) | 24(P8,E16) |
スレッド数 | 32 | 32 | 32 |
E基本/最大周波数 | 2.40GHz/4.40GHz | 2.20GHz/4.30GHz | 2.40GHz/4.30GHz |
P基本/最大周波数 | 3.20GHz/5.60GHz | 3.00GHz/5.40GHz | 3.20GHz/5.40GHz |
ターボブースト時最大 | 6.00GHz | 5.80GHz | 6.00GHz |
キャッシュ | 36MB Intel Smart Cache | 36MB Intel Smart Cache | 36MB Intel Smart Cache |
合計L2キャッシュ | 32MB | 32MB | 32MB |
ベースパワー | 125 W | 125 W | 150W |
最大ターボパワー | 253W | 253W | 253W |
対応メモリ | ~DDR5 5600 ~DDR4 3200 | ~DDR5 5600 ~DDR4 3200 | ~DDR5 5600 ~DDR4 3200 |
対応PCI-e ver. | 5.0 & 4.0 | 5.0 & 4.0 | 5.0 & 4.0 |
搭載グラフィックス | Intel UHD Graphics 770 (F:—) | Intel UHD Graphics 770 (F:—) | Intel UHD Graphics 770 |
対応ソケット | FCLGA1700 | FCLGA1700 | FCLGA1700 |
発売時価格 | 約110,000円 (F:約105,000円) | 約106,000円 (F:約103,000円) | 約120,000円 |
Core i9-14900K(F)はほぼ前世代と変わらず
上記のスペック表を見比べても分かる通り、14900K(F)は13900K(F)に比べてほとんど変化はありません。唯一と言ってもいい変化は動作周波数で、Eコア及びPコアともに若干の上昇、そしてターボブースト時の最大クロックが第13世代Coreの最高峰である13900KSと同等の6.00GHzとなっています。
ハイエンドクラスであるCore i9を実際に使用したとして、ターボブースト時最大クロックの僅かな上昇を体感できるタイミングもあまり無いでしょう。高負荷でベンチマークをぶん回しても誤差の範疇かも。このへんが「Reflesh」の所以なのでしょうか。
対応ソケットが第12,13世代と共通なので乗り換えコストは抑えられますが、販売時期に1年(13900KSからは9ヶ月)しか開きがなく、リリース時の価格も13900K(F)と大差ないことが変化量を物語っていると言えるでしょう。
Core i7-14700K(F) スペック
i7-14700K(F) | i7-13700K(F) | |
発売日 | 2023年10月 | 2022年10月 |
開発コード | Raptor Lake Reflesh | Raptor Lake |
製造プロセス | 7nm | 7nm |
コア数 | 20(P8,E12) | 16(P8,E8) |
スレッド数 | 28 | 24 |
E基本/最大周波数 | 2.50GHz/4.30GHz | 2.50GHz/4.20GHz |
P基本/最大周波数 | 3.40GHz/5.50GHz | 3.40GHz/5.30GHz |
ターボブースト時最大 | 5.60GHz | 5.40GHz |
キャッシュ | 33MB Intel Smart Cache | 30MB Intel Smart Cache |
合計L2キャッシュ | 28MB | 24MB |
ベースパワー | 125 W | 125 W |
最大ターボパワー | 253W | 253W |
対応メモリ | ~DDR5 5600 ~DDR4 3200 | ~DDR5 5600 ~DDR4 3200 |
対応PCI-e ver. | 5.0 & 4.0 | 5.0 & 4.0 |
搭載グラフィックス | Intel UHD Graphics 770 (F:—) | Intel UHD Graphics 770 (F:—) |
対応ソケット | FCLGA1700 | FCLGA1700 |
発売時価格 | 約79,000円 (F:約75,000円) | 約75,000円 (F:約71,5000円) |
Core i7-14700K(F)は全面強化
i9はほぼ変化の無いマイナーチェンジ止まりのように見えましたが、Core i7-14700K(F)は同じマイナーチェンジでも全面的にスペックアップされているようです。
Eコア(省電力コア)を増やしたことにより低負荷時のベース性能を底上げし、Eコア及びPコアの最大周波数を引き上げることでピークパワーもわずかながらも伸び、またキャッシュの搭載量を増やすことでもCPUそのものの動作効率を上げることを狙っています。
価格面でも13700K(F)発売時と比較して大きな上乗せはないため、『第13世代の強化版』としての第14世代Coreの立ち位置としてとてもわかりやすい構成であると言えるでしょう。
対応ソケットも共通であるため第12、13世代からのスペックアップ狙いの載せ替えも現実的であり、FCLGA1700環境でPCを新調する場合には迷わず第14世代Core i7-14700K(F)を選ぶ動機になるでしょう。
Core i5-14600K(F) スペック
i5-14600K(F) | i5-13600K(F) | |
発売日 | 2023年10月 | 2022年10月 |
開発コード | Raptor Lake Reflesh | Raptor Lake |
製造プロセス | 7nm | 7nm |
コア数 | 14(P6,E8) | 14(P6,E8) |
スレッド数 | 20 | 20 |
E基本/最大周波数 | 2.60GHz/4.00GHz | 2.60GHz/3.90GHz |
P基本/最大周波数 | 3.50GHz/5.30GHz | 3.50GHz/5.10GHz |
ターボブースト時最大 | 5.30GHz | 5.30GHz |
キャッシュ | 24MB Intel Smart Cache | 24MB Intel Smart Cache |
合計L2キャッシュ | 20MB | 20MB |
ベースパワー | 125 W | 125 W |
最大ターボパワー | 181W | 181W |
対応メモリ | ~DDR5 5600 ~DDR4 3200 | ~DDR5 5600 ~DDR4 3200 |
対応PCI-e ver. | 5.0 & 4.0 | 5.0 & 4.0 |
搭載グラフィックス | Intel UHD Graphics 770 (F:—) | Intel UHD Graphics 770 (F:—) |
対応ソケット | FCLGA1700 | FCLGA1700 |
発売時価格 | 約60,000円 (F:約56,000円) | 約58,000円 (F:約55,000円) |
Core i5-14600K(F)も変化なし
i9はほぼ変化なし、i7は全面強化と来て、i5はまさかの変化なし。
最大クロックがわずかに引き上げられているものの、ターボブースト時の最大クロックは変わらず。もはやどこで差を付けたいのかわからないレベルで、購入するなら1年分の値下がりを経た13600K(F)でいいんじゃないでしょうか。まぁ話題作りの再販レベルということで。
新機能はDTTとAPOとAI Assist
第14世代Coreには、一部のノートPCシステムでパフォーマンスを最適化する『Intel Dynamic Tuning Technology』及びIntel Dynamic Tuning Technologyを利用して対応するゲームアプリケーションのパフォーマンスを向上する『Intel Application Performance Optimization』という2つの機能が搭載されています。
スペック面では大きな進化を見せられなかった14世代Coreですが、この2つの機能を用いれば特定のノートPCで特定のアプリケーションを使用する際に数%のアドバンテージを得られるようです。対応するゲームソフトも随時拡大していくと思われるので、この一点に期待してみるのもありかも知れません。
また14900K(F)だけで使える『AI Assist』機能はAIによってOCを最適化することができます。かなり限定されたユーザー層向けのテスト的な機能と捉えられなくもないですが、最新テクノロジーに触れたい方は注目です。