2022年1月に発売したRTX3050は、いまだ高止まりするグラボ市場の中でエントリーモデルの最適解となるのか?
価格や用途の面からRTX3050の立ち位置を考察していきます。
RTX3050概要
2022年1月末に発売されたNVIDIA RTXシリーズの末弟モデルです。
これまでRTXシリーズはナンバリング~60が最下位モデルとして展開されていたため、3050はさらにこれを下回るエントリーモデル的な立ち位置を期待されての登場と言えます。
グラボ単体の価格レンジは¥39,800~約¥55,000。
もちろんRTXシリーズなのでリアルタイムレイトレーシング機能を使用できるほか、AIレンダリングテクノロジーであるDLSSを使用した大幅なパフォーマンスアップ、NVIDIA Broadcastを使用した配信環境などの恩恵を受けることが出来ます。
RTX3050性能
RTX3050の性能についてはPCパーツショップなどですでにベンチマークスコアが公開されています。
これらを総評すると、概ね『GTX1660~1660SUPERと同等の性能』であると思っていいでしょう。
また、AMD RADEONシリーズでは『RX6600と近しい性能』であることもわかります。
プレイ環境としてはフルHD環境であれば概ねどのようなタイトルでも画質を調整する前提で60~90fps辺りがターゲットになります。
軽量タイトルであれば120fps~も可能で高リフレッシュレートのゲーミングモニターを使用する恩恵もありますが、多くの場合は画質高~最高設定では動作が重く感じられる場面も多いでしょう。
2K~8Kなどの高解像度環境ではさらに動作が厳しくなるためあまり現実的ではありません。
ただし、RTXに搭載されているTensorコアによるAIレンダリング『DLSS(DeepLearningSuperSampling)』を使用することで大幅なパフォーマンスアップが見込める点においては同等性能の他モデルに対して優位となります。
RTX3050とDLSS
DLSSは専用のTensorコアでAIレンダリングを行うことで高解像度高フレームレートを実現するRTXシリーズ特有の機能です。
DLSSの効果はプレイするタイトルによっても異なりますが、概ね機能OFF時に比べて150%~のフレームレートを実現できる超有能機能。
ただし一点デメリットもあり、DLSSに対応したタイトルでなければDLSSの恩恵を受けることは出来ません。
DLSS対応タイトルは2018年9月時点で計25タイトル、2021年6月時点で計55タイトル、さらに2022年現在は急速に対応タイトルを増やしており、すでに150を超えるタイトルが対応済み。
今後も大型タイトルを中心にかなりの普及率でDLSS対応が進められていくことが予測できます。
DLSS対応タイトルの一例(2022年2月時点)
RED DEAD REDEMPTION 2,DOOM ETERNAL,BATTLEFIELD 2042,CyberPunk 2077,MINECRAFT withRTX forWINDOWS10,CALL of DUTY WARZONE,FORTNITE,WATCH DOGS LEGION,RUST,OUTRIDERS,DEATH STRANDING,CONTROL,Wolfenstein Youngblood,MECHWARRIOR MERCENARIES 5,CALL of DUTY BLACK OPS COLD WAR,MEDIUM,PUMPKIN JACK,CRYSIS REMASTERED,DELIVER US THE MOON,Mount&Blades 2 BANNERLOAD,CALL of DUTY MODERN WARFARE,METRO EXODUS,SHADOW OF THE TOMB RAIDER,BATTLEFIELD 5,DYING LIGHT 2 STAY HUMAN,Sifu,PHANTASY STER ONLINE 2 New Genesis,Escape from Tarkov,他
RTX3050の買い評価
ザックリとRTX3050の特徴を述べたうえで、ゲーミングPCのエントリーモデルとしてRTX3050(及びRTX3050搭載ゲーミングPC)は“買い”なのか。
これについては、ベンチマークスコアでほぼ同性能or比較対象となる他のグラボとの価格差を参考に見ていきましょう。
2022年2月現在のRTX3050及び他モデルの価格は以下。
実勢販売価格 | |
RTX3060 | 約¥69,000~ |
RTX3050 | 約¥39,800~¥63,800 |
GTX1660 | 約¥38,000~ |
GTX1660SUPER | 約¥47,800~ |
GTX1660Ti | 約¥49,500~ |
※各メーカーのモデルによって価格は異なります
GTX1660各種及びRTX3060はマイニング需要や半導体不足の影響で価格が高騰しており、2022年現在では多少落ち着いてきたものの初値に比べればまだまだ割高です。
RTX3050に関してPalit製『RTX 3050 StormX 8G』やMSI製『RTX 3050 AERO ITX 8G』(¥39,800)が最安値モデルであり、運よく在庫があれば他の比較モデルよりも割安で入手することが出来るかも。
ただしRTX3050はDLSS対応タイトルをプレイする以外では性能面でこれといったメリットは無く、グラボ価格高騰以前(2020年末頃)の水準からすれば「もう1万円安かったら買ったのに…」と思ってしまうのが正直なところ。
今後リリース予定の新規タイトルも含めて性能面で不満なくいろいろなゲームタイトルをプレイするのであれば、最低限でもRTX3060程度の性能がおすすめラインといった印象です。
グラボ単体ではなくグラボ搭載ゲーミングPCの方が価格も在庫も安定傾向
グラボ単体の価格では正直微妙な買い判断となりそうなRTX3050ですが、エントリーモデルとしてRTX3050が気になっている方であればグラボ搭載のゲーミングPCとして探している場合も多いと思います。
で、ショップ側からしても利益を確保しやすいため、グラボ価格が高止まりしている状況でも搭載モデルのゲーミングPCとして購入した方がコスパや在庫面でも有利な場合が多いのも事実。
以下はドスパラのRTX3050搭載ゲーミングPC及び比較対象となりそうなモデルの一例です。
PCモデル名 | CPU | GPU | 価格 |
GALLERIA RM5C-R35 | Core i5-12400 | RTX3050 | ¥159,980 |
GALLERIA RM5R-R35 | Ryzen5 3600 | RTX3050 | ¥164,980 |
GALLERIA RM5C-R36 | Core i5-11400 | RTX3060 | ¥149,980 |
・・・偶然にも逆転現象が起きてますねw
CPUは1世代前の11400ですが、グラボはRTX3060を搭載しトータルのスペック面で見ても確実に上回る『RM5C-R36』がRTX3050搭載モデルよりも安くなってます。
(あくまで記事執筆時点でのラインナップですのでご注意ください)
このようにゲーミングPCの販売モデル単位で見れば、ショップの都合で掃きたい在庫や売れ筋キャンペーンモデルなどの都合で割安なモデルがみつかることも。
グラボ価格の高止まり傾向が続く状況下では、性能面でメリットの少ないRTX3050に絞るよりはトータルコストで割安なモデルを探す方がお得な場合もありそうです。