ゲーミングPCに搭載されるマルチコアCPU市場において、とりわけミドルスペック帯において2022年1月に発売されたIntel Core i5-12400(F)が競合のAMD Ryzen5 5600Xを圧倒するコスパを誇っています。
12400(F)の何が優れているのか、なぜ5600Xを圧倒しているのかを見ていきます。
Core i5-12400F スペック&価格比較
Core i5-12400FとRyzen5 5600Xのスペックを比較するとこのようになっています。
Core i5-12400F | Ryzen5 5600X | |
世代 | 第12世代“AlderLake” | 第4世代 Zen3 |
プロセス | 10nm | 7nm |
発売 | 2022年Q1 | 2020年Q4 |
コア/スレッド | 6/12 | 6/12 |
周波数 | 2.50GHz/4.40GHz | 3.70GHz/4.60GHz |
キャッシュ | 18MB | 32MB |
定格電力 | 65W/117W | 65W |
対応メモリ | ~DDR5 4800 ~DDR4 3200 | ~DDR4 3200 |
PCIe | 5.0&4.0 | 4.0 |
価格 | 約¥22,000 | 約¥32,000 |
Core i5-12400Fとは
まず、Core i5-12400FはIntel CPUにおける2022年4月時点での最新世代である『第12世代Coreプロセッサー“AlderLake”』に属するモデルです。
末尾の『F』はグラフィック機能を搭載していないことを指し、元となる無印のCore i5-12400はグラフィック機能を搭載したCPUとしてラインナップされています。
CPU性能としては同等の2モデルですが、ゲーミングPCに搭載する場合にはGPUを別途搭載することが基本となるためここでは価格面でよりメリットの大きい『F』を取り上げています。
第12世代だがEコアを搭載していない
第12世代Coreプロセッサーの目玉はPコア(高性能コア)とEコア(高効率コア)の2つのコアを搭載する基本設計にあります。
出力に優れたPコアと消費電力を抑えたEコアを使い分けることでトータルのパフォーマンスを維持しながら電力消費を抑える設計で、製造プロセスにおけるAMDのアドバンテージに対抗する新しいCPUとしてデビューしました。
Core i5グレードでは上位モデルの12600がPコアとEコアを搭載し10コア16スレッドという変則構成となっていますが、下位モデルである12400(F)ではEコアは搭載されず6コア12スレッドというスタンダード構成となっています。
ただし12400(F)においても世代進行に伴うCPU性能のベースアップの恩恵は大きく、前世代のCoreプロセッサーを上回ることはもちろん競合モデルであるRyzen5 5600Xと同等もしくはそれ以上の性能を誇ることが各種ベンチマークでも確認できます。
性能と電力消費と価格
Core i5-12400FをRyzen5 5600Xとの比較でみていくと、
- 性能面ではほぼ互角(若干12400Fが上回る?)
- 電力効率面では製造プロセス7nmの恩恵でRyzen5 5600Xが若干上回る
- 価格面ではCore i5-12400FがRyzen5 5600Xを大きく引き離す
という結果になることが比較表からも読み取れます。
約1年半前に発売されたRyzen5 5600Xは当時『最強の6コアCPU』としてデビューしたものの、AMDラインナップとしては強気すぎた価格設定と下位モデルを拡充しなかった戦略ミスにより2022年ではミドルスペック市場のシェアをCore i5-12400(F)に明け渡す結果となってしまいました。
逆に言えばAMDミドルスペックCPUのフラッグシップモデルであるRyzen5 5600Xを、IntelはおなじくミドルスペックCPUのCore i5シリーズにおける下位モデルで蹂躙するという驚異の進化とコスパを実現したことになります。
AMDの対抗策
2022年4月にAMDはRyzenシリーズのラインナップから長らく抜けていた下位モデル、廉価モデルの販売を開始します。
5600Xの下位モデルとしては「Ryzen5 5600」「Ryzen5 5500」などを予定していますが、性能面でCore i5-12400FがRyzen5 5600Xに並んだ今、下位モデルである5600が性能で5600Xを上回ることは構成上不可能であり、勝負できるとすればおそらく価格設定のみ。
USドルでの価格はすでに公表されているものの日本国内での販売価格で12400Fを大きく下回れるかどうかは未知数であり、Ryzen5 5600Xが実勢30,000前後であることを考えれば12400Fに対抗できる価格に収まる可能性はそれほど高くないと思われます。
AMDのメリットを無効化するタイミング
CPU単体でのコスパ以外に、AMDには『AM4』のメリットがありました。
2世代ごとに対応ソケット(マザーボード)規格が変わるIntel Coreに対し、シリーズを通して長らくAM4規格を使い続けてきたAMD RyzenはCPUを単体購入するだけで乗り換えが可能でトータルコストが抑えられるというメリットです。
しかし、AMD Ryzenは次期モデルとなる7000番台(2022年後半?)からソケット規格を『AM5』に刷新することがわかっているため、2022年前半においてCPU+マザーボードを新調しようとした場合はAMDにおける『AM4』のメリットは無効化されてしまうことになります。
これらの要因がおそらくはCore i5-12400Fが爆売れしている理由であり、2022年のミドルスペックゲーミングPCにおいてはCore i5-12400Fが主流としてまだまだ売れ続けることになるでしょう。
Core i5-12400(F)を搭載するゲーミングPC
GALLERIA RM5C-G60S 2022 VALORANT CHAMPIONS TOUR – Challengers Japan大会協賛モデル
CPU | Core i5-12400 |
GPU | GTX1660SUPER |
メモリ | 16GB DDR4 |
ストレージ | 500GB NVMe SSD |
価格 | ¥139,980 |
Core i5-12400とGTX1660SUPERを組み合わせた入門~ミドルスペック帯で最安クラスとなる構成のゲーミングPCです。
一通りのPCゲームをフルHD 60fps超でプレイすることが可能なスペックで、VALORANT公式大会の協賛モデルとしても採用されているベーシックな構成と言えるでしょう。
ゲーミングPCデビューしたい方にも最適なコスパ重視モデルです。
GALLERIA RM5C-R36T
CPU | Core i5-12400 |
GPU | RTX3060Ti |
メモリ | 16GB DDR4 |
ストレージ | 500GB NVMe SSD |
価格 | ¥199,980 |
Core i5-12400とRTX3060Tiを搭載するゲーミングPCです。
概ねフルHD 120fps超のパフォーマンスを高画質で実現するパワーを持っているため、重量級タイトルを含む一通りのPCゲームに不自由なく対応できる構成です。
PCゲームを高フレームレートでプレイしたい場合はもちろん、ライブ配信や実況動画の作成、クリエイティブな作業においても充分対応できるゲーミングPCです。