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AMD Ryzen7 5800X3D ベンチマークからわかる特徴とおすすめの用途など

ゲーミングデバイス

AMD 3D V-Cacheテクノロジーによりゲーミング性能に効果を発揮するL3キャッシュを爆盛した、ゲーミングCPU最強の呼び声も高い変態CPU『AMD Ryzen7 5800X3D』。
ベンチマーク結果からわかる特徴やおすすめの用途をレビューします。

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Ryzen7 5800X3D基本スペック

CPU世代Zen3
コア/スレッド数8/16
基本クロック3.4GHz
最大ブーストクロック4.5GHz
L1キャッシュ512KB
L2キャッシュ4MB
L3キャッシュ96MB
TDP105W
対応ソケットAM4
最大温度90℃
PCI ExpressバージョンPCIe 4.0
対応メモリDDR4

Ryzen7 5800X3Dは基本構成は8コア16スレッドのZen3世代Ryzen7ですが、L3キャッシュを爆盛にする『AMD 3D V-Cacheテクノロジー』の採用によって唯一無二(2023年2月時点)のゲーミングデスクトッププロセッサーという立ち位置を獲得しています。

AMD 3D V-Cacheテクノロジーとは

Ryzen7 5800X3Dに搭載されるAMD 3D V-Cacheテクノロジーとは、簡単に言えばL3キャッシュを縦に積んだらいっぱい載った!みたいな感じです(たぶん)。

L3キャッシュとは

キャッシュメモリはメインメモリよりも容量は少ないけど高速な一時メモリで、さらにキャッシュメモリの中にもL1→L2→L3と段階があります。
処理の順番的には欲しい情報がL1にない場合はL2を探し、L2になければL3を探し、L3にもなければメインメモリを探しに行く、みたいな感じ。

なのでL3キャッシュを大量に積んだ分で情報処理時にメインメモリへアクセスするタイムロスを減らすことが出来、その分処理が高速化する、という効果があります。
そしてこの処理の高速化がゲーミング用途で大きな効果を発揮することになります。

ちなみにIntelのフラッグシップであるCore i9-13900Kでも合計キャッシュは36MBなので、Ryzen7 5800X3DのL3キャッシュ96MB(L2+L3計100MB)がどれだけデカいかがわかります。

Ryzen7 5800X3D × CINEBENCH R23

Ryzen7 5800X3Dの、ベンチマークソフト『CINEBENCH R23』の計測結果です。
比較対象は手持ちのRyzen5 5600X他。

シングルコア性能ではRyzen7 5800X3DはRyzen5 5600X(6コア12スレッド/3.7~4.6GHz)に若干劣るという結果になりました。
動作クロック自体はRyzen5 5600Xの方が高いのでこの辺が影響しているのでしょうか。
ただし差は約4%程度なので、ほぼ誤差の範囲だと思って良いでしょう。
5800X3Dも5600XもZen3世代Ryzenで、シングルコア性能はZen2世代から大きく飛躍しているためどちらにせよゲーミング用途に於いては充分な性能を発揮します。

マルチコア性能ではRyzen7 5800X3Dの8コア16スレッドの実力がもろに数値に現れており、下位グレードであるRyzen5 5600Xを30%超も上回る結果となりました。
ゲームタイトルでもマルチコアに最適化されたタイトルは増えて来ていますし、ゲーム以外でもマルチタスク作業やクリエイティブな作業にはRyzen7の方が圧倒的に向いていると言えるでしょう。

Ryzen7 5800X3D × CPU負荷テスト

Ryzen7 5800X3Dの温度/冷却テストとして、OCCTを使用してCPUに負荷をかけ、温度の上がり方をモニターします。
使用しているCPUクーラーは空冷の定番「サイズ 虎徹MarkⅡ」です。

CPU使用率100%の負荷で15分回した結果、CPU温度の最大は80.5℃でこれ以上上がる気配はありません。
Ryzen7 5800X3Dの仕様上の最大温度は90℃なのでおそらく問題なしですが、負荷テストではなく実用環境では何か他の要因で温度が上がることもあるかも知れないので、心配な場合は簡易水冷なども用意した方が良いかも知れません。

CPUの適正温度は最大で70℃~80℃程度に収まるのが良いとされているため、実用を重ねながらもう少し監視する予定ですが、使用率100%が長時間連続することは基本的に無いと思われるため空冷でもなんとかなりそうな手応えです。

ちなみにRyzen5 5600Xで同環境での負荷テストを行った結果はCPU温度の最大が71℃。
TDPが65W→105Wにアップしているので当然ですが、発熱量は確実に増えています。

Ryzen7 5800X3D × 3DMark

RTX3070との組み合わせで3DMARK計測を行います。
基本的にはグラフィック性能を計るベンチマークですが、RTX3070を固定しCPUを入れ替えることでグラボとのスペックバランスを探ってみます。

Ryzen5 5600X
&RTX3070
Ryzen7 5800X3D
&RTX3070
TimeSpy score1207812867
Graphics Score1334913173
CPU Score784611373
Ryzen5 5600Xとの比較

TimeSpyの総合スコアはRyzen5 5600Xの“12078”に対してRyzen7 5800X3Dが6%プラスの“12867”
ただしCPU単体でのスコアはRyzen5 5600Xの“7846”に対してRyzen7 5800X3Dが45%プラスの“11373”なので、RTX3070にRyzen7 5800X3Dを組み合わせた場合は誤差程度の上乗せはあるものの、RTX3070の性能はRyzen5 5600Xで充分に使い切れていると言って良いでしょう。

Ryzen7 5800X3D × FF15 BENCHMARK

続いてFF15ベンチでもCPUの影響を見ていきます。

Ryzen7 5800X3D & RTX3070
Ryzen5 5600X
&RTX3070
Ryzen7 5800X3D
&RTX3070
FF15 Bench1224613294
Ryzen5 5600Xとの比較

Ryzen5 5600Xに比べてRyzen7 5800X3Dはベンチマークスコアで8%程度のプラス
なおベンチマーク実行中のCPUは以下の状態でした。

FF15ベンチ実行時のRyzen7 5800X3Dは、シーンの切り替え時に一瞬使用率が跳ね上がることはあっても平均では40%以下の使用率をキープ
CPU温度もたまに60℃を超えることがある程度で平均は45~50℃程度

これだけの余力を残しておきながらベンチ結果が8%のプラスに留まっているということは、RTX3070とのスペックバランス的にはやはりRyzen7 5800X3Dによる若干の上乗せはあってもRyzen5 5600Xの時点でRTX3070の性能はほぼ使い切っている、と考えて良さそうです。

Ryzen7 5800X3D & Escape from Tarkov fps計測

次にRyzen7 5800X3Dの効果がはっきり出た例として、Escape from Tarkovのフレームレート計測を見ていきます。

Ryzen5 5600X
&RTX3070
Ryzen7 5800X3D
&RTX3070
Shoreline93.7fps119.6fps
Factory141.3fps154.5fps
Lighthouse74.4fps106.5fps
Street of Tarkov60.9fps93.2fps
メインメモリ32GB、SCAV出撃時、画質設定共通での平均fps値

Ryzen5 5600X、Ryzen7 5800X3D共に組み合わせたGPUはRTX3070ですが、同じGPUでもCPUが違うだけでここまでの差が出ました。

Factoryはもともと狭いマップなので伸び幅は限定的ですが、そのほかでは27%~プラスと大幅な伸びを見せています。
特にStreet of Tarkovは最近追加されたマップで最適化がまだ進んでいないために“ゲーム中で最も重いマップ”とされていますが、重さの原因となる処理負荷の大半はCPUへの負荷だった模様でRyzen7 5800X3Dの導入で53%プラスと一番大きな伸び幅となりました。

処理負荷はゲームタイトルの特性によるためすべてのゲームでこのような結果にはなりませんが、GPUが同じでもCPU負荷割合の高いタルコフのようなゲームタイトルではRyzen7 5800X3Dのパワーが存分に発揮されるようです。

Ryzen7 5800X3D おすすめの用途と買い判断

Ryzen7 5800X3DはAMD 3D V-Cacheテクノロジーを採用した唯一のゲーミングCPUです。
が、Ryzenシリーズではすでに最新7000番台のモデルがリリースされており、Ryzen7 5800X3Dは1世代前のモデルになります。
また、2023年3月3日から最新7000番台にもX3Dモデルが追加されました。

究極のゲーミングCPU『AMD Ryzen7000X3D』

これらを受けて、Ryzen7 5800X3Dの導入に関しては以下のような用途、判断をするのが良いと思われます。

対応ソケットによる導入費用で判断する

最新Ryzen7000シリーズから対応するCPUソケットがAM5に変更されました。
また対応するメモリもDDR5となったことで、Ryzen7000シリーズを導入するにはCPUだけではなくマザーボードやメモリを含めて交換する必要があります。

買い替えケースとしては、すでにAM4環境を運用していて比較的安価にスペックアップしたい場合はRyzen7 5800X3Dを選択した方が良いでしょう。

またパーツ代が高くついても最新システムを組みたい場合、もしくはPCごと新調したい場合は7000X3Dシリーズの導入も検討できるでしょう。

組み合わせるGPUで判断する

ベンチマークの結果では、RTX3070との組み合わせであればRyzen5 5600Xでも充分バランスが取れている、と考える方が自然です。

そのためRTX3070Ti以上、さらにはRTX4000シリーズなどのハイエンドGPUを組み合わせる用途で、さらにCore i9やRyzen9といったハイエンドCPUよりも導入費用を抑えたい場合はRyzen7 5800X3Dを選択するというのもアリです。

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Escape from TarkovならRyzen7 5800X3D

Escape from TarkovのようなCPU負荷割合が極端に高いゲームタイトルに関しては、GPUとのバランス以上にCPUスペックがパフォーマンスに与える影響が大きいことがわかりました。

ということは、すでにAM4環境を運用している場合であればCPUを買いかえるだけでほぼ確実にタルコフの快適度を上げることが出来る、と言えるでしょう。
ただし旧規格となるAM4を新規で揃えるのはちょっともったいない気もするので、現状でAM4環境を持っていない方は素直に最新7000X3Dの構成を検討した方が良いでしょう。

実は651WOFが安い

Amazonなどで『AMD Ryzen7 5800X3D』を調べると、『651WOF』という商品名の5800X3Dよりちょっと安いCPUが検索に引っかかることがあります。

この『651WOF』は実はRyzen7 5800X3Dの型番を指しており、小売販売店でのセット売りなどの目的で安い仕入れ値で卸されているモデルだそうです。

当然CPUとしては全く同じものなので、少しでも購入価格を抑えたい方は探してみるのも良いでしょう。

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