2021年3月末ResizableBAR機能解放
NVIDIAからRTX30シリーズのResizableBAR対応に関する発表が行われてからはや数か月が経ち、ようやく機能が解放されました。
RTX30シリーズを使用するPCゲーマーから少なからず気になっていたであろうこの機能は、本当に描画性能を引き上げることが出来るのか。
手元にあるRTX3070で確かめてみました。
ResizableBARとは
ResizableBARとは
『変更可能(Re-size)な基底アドレスレジスタ(Base Address Register)』
の略で、要するにCPUがGPUのVRAMへ効率よくアクセスできるようになるというPCI Expressのオプション機能を指します。
で、公式によれば、特定のタイトルにおいて最大12%の描画性能アップ(フレームレート向上)が見込めるということらしいですね。
すでに対応するGPUやその他パーツを所有しているなら、ドライバーやBIOSの更新だけで性能アップが見込めるという素晴らしい技術のように思えますね。
ResizableBARに必要なパーツ
ResizableBARを有効にするためにはRTX30シリーズのグラフィックボード以外に、Ryzenであれば5000番台のCPU、そしてAMD400系or500系のチップセットを搭載したマザーボードが必要になります。
※注)この記事ではIntel環境には触れておりません。持ってないので。
[nlink url=”https://bacchigames.club/gadjet/btopc5600xrtx3070.html”]
今回使用したパーツ
今回のテストでは以下の機材を使用しています。
- MSI GEFORCE RTX3070 Ventus2X OC
- Ryzen5 5600X
- ASRock B550M SteelLegend
- ほか
ResizableBAR対応ゲームタイトル
機能をサポートするタイトルは以下の通り。
(おそらく今後も順次対応を広げるでしょう)
GeForce RTX30シリーズサイズ変更可能なBARがサポートするゲーム |
2021年3月30日現在 |
アサシンクリードヴァルハラ |
バトルフィールドV |
ボーダーランズ3 |
コントロール |
サイバーパンク2077 |
デスストランディング |
ダート5 |
F1 2020 |
Forza Horizon 4 |
Gears 5 |
ゴッドフォール |
ヒットマン2 |
ヒットマン3 |
ホライゾンゼロドーン |
メトロエクソダス |
レッドデッドリデンプション2 |
ウォッチドッグスレギオン |
今回はこの中から、私が所有している2タイトル「ボーダーランズ3」「サイバーパンク2077」の2本と、一応ベンチマークソフトも回してテストしてみました。
ResizableBARを有効にする
ResizableBARを有効にするためには、各種ドライバーやBIOSを対応Versionに更新する必要があります。
ぶっちゃけこれが結構な手間でした。
マザーボードのBIOS更新
ASRock B550M SteelLegendは4月上旬時点の最新且つResizableBAR対応バージョンである『P1.90』に更新。
ASRock公式ページからダウンロードし、データをUSBメモリへ格納したのちInstant Flash機能を用いて更新できます。
グラフィックボードのドライバー更新
RTX30シリーズはNVIDIAが提供する『GEFORCE EXPERIENCE』を使えば最新バージョンへのアップデートが簡単に行えます。
グラフィックボードのVBIOS更新
私はVBIOSの更新なるものを今回初めて行いました。
普通にゲームしてたらまぁ触ることのない部分ですね。
VBIOS=VideoBIOSらしいです。
MSIでは「LiveUpdate」か「DragonCenter」というユーティリティソフトを使って更新できるようになっています。
今回は名前がかっこ良いという理由でDragonCenterを選択。
これらの更新作業自体は特に難しいものではありませんが、一応ミスると大変なことになる(らしい)ので自己責任で行ってください。
パーツを購入したショップによっては有料でサポートを行っている場合もあると思いますので自信がない方は相談してみては。
すべての更新が終わったらBIOS画面でResizable BARを有効にしてください。
正しくResizable BAR機能を有効にできた場合、グラボの状態を確認できる『GPU-Z』で確認するとこのように表示されます。
ResizableBARの効果をベンチソフトで計測してみる
グラフィック性能のベンチマークと言えば3DMark、と自分は思っているので回してみます。
一応計測誤差のあるので無効/有効をそれぞれ3回ずつテスト。
3DMark TimeSpy
グラフィック性能を総合的に計測。
3DMark PortRoyal
リアルタイムレイトレ―シング性能を計測。
FF15 BenchMark
重いゲームのベンチマークと言えばFF15ですね。
フルHD1080p 高品質で計測。
各種ベンチ結果は『微増』
対応タイトルが~とかではないので効果が無くても文句は言えませんが、なんとなく描画性能自体が底上げされるイメージがあったのでこの結果には驚きました。
まさかの「微増」(計測誤差の範囲)。
ResizableBARの効果を対応タイトルで試してみる
ResizableBAR対応タイトルであるボーダーランズ3とサイバーパンク2077で、簡易的に比較してみました。
ボーダーランズ3
まずは『ボーダーランズ3』。
設定はフルHD/バッドアス。
なるべくイコール条件になるようにニューゲームの冒頭シーンで比較。
結果は、効果をまったく実感できず。
フレームレートの最大値はほぼ同等。
もしかしたら下を救ってアベレージが上がってるとか・・・とも思いましたが、体感では全く変化がわかりません。
サイバーパンク2077
次に『サイバーパンク2077』。
設定はフルHDで最高設定にしています。
なかなかイコールで比べるのが難しいので参考までに。
結果は、こちらもまったく効果を実感できず・・・。
サイバーパンクはもともと激重で、RTX3070でも最高設定で60フレーム維持が難しいレベルだったので改善を期待してたんですがね。
ResizableBARは無理に導入する必要はない
ResizableBARを有効にしてみた結果、残念ながら効果は全くと言っていいほど体感できませんでした。
おそらくピンポイントで効果が大きいタイトルを選べば多少は実感できたかもですが、そのタイトルが自分の好みのタイトルである保証もないですし。
で、私なりの評価としては『無理に導入しなくてよい』。
ResizableBARを有効にするためにはRTX30シリーズGPU、Ryzen5000番台CPUという高額な部類に入るパーツが必要になりますが、それらをResizableBARのためだけに買いそろえる必要はないと思われます。
すでにパーツがそろっている場合も、BIOS更新などに不慣れな方は無理にチャレンジする必要は無いでしょう。
Ryzen3000番台のコスパが光りそう
もともとRyzen5000番台の性能は目を見張るものがありますが、個人的にゲーム用途としてはオーバースペックでコスパが悪化した面もあるとも感じています。
ですが、ResizableBARによってRTX30シリーズの性能を引き上げるという点でその価値に期待していました。
で、ResizableBARにそこまでの効果がないということが分かってしまった今、コスパで選ぶならRyzen3000番台という選択がかなり有力になってくるんじゃないかと思いますね。
[nlink url=”https://bacchigames.club/gadjet/lightningav5.html”]