国内BTO大手の「ドスパラ」及び「マウスコンピューター」がラインナップしている10万円以下のゲーミングPCについて、パーツ構成の比較から安さの理由と本当のおすすめモデルを解説します。
10万円以下はどちらもセカンドブランドからのラインナップ
ドスパラ及びマウスコンピューターのどちらも10万円以下の格安ゲーミングPCを販売しています。
※本記事執筆時点(2024年10月現在)でマウスコンピューターの「JG-A5G1D」は販売終了となっており、その後10万円を切るデスクトップゲーミングPCはラインナップされていません。
さらに言えば、どちらのモデルもコスパ重視のセカンドブランドからの販売となっている点に注目。
ドスパラ | マウスコンピューター | |
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【性能重視】 1st ゲーミングブランド | GALLERIA | G-Tune |
【コスパ重視】 2nd ゲーミングブランド | THIRDWAVE-G (Lightning-G/Magnate-G) | NEXTGEAR |
以前(5年ほど前)まではファーストブランドからも10万円以下のゲーミングPCがラインナップされていたと記憶していますが、2024年現在ではインフレや円安などの社会情勢の影響でパソコン価格も値上がり傾向にあります。両社ともメインのゲーミングブランドの価値を下げることなくコスパに優れたゲーミングPCを提供するため、エントリー層向けに販売価格を重視したセカンドブランドを立ち上げるという戦略に出たようです。
10万円以下のゲーミングPCパーツ構成比較
10万円以下で買える最安値モデル「Lightning-G AT5W」と「NEXTGEAR JG-A5G1D」の2モデルのパーツ構成を比較してみます。
Lightning-G AT5W | NEXTGEAR JG-A5G1D | |
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OS | Windows11 Home | Windows11 Home |
CPU | AMD Ryzen5 4500 (6コア12スレッド) (3.6〜4.1GHz) | AMD Ryzen5 4500 (6コア12スレッド) (3.6〜4.1GHz) |
GPU | GeForce RTX3050 6GB | GeForce GTX1660 SUPER |
メモリ | 16GB DDR4-3200 | 16GB DDR4-3200 |
ストレージ | 1TB M.2 NVMe Gen4 SSD | 512GB NVMe SSD |
マザーボード | AMD B550 MicroATXマザー | AMD B550 MicroATXマザー |
電源 | 650W (80PLUS BRONZE) | 550W (80PLUS BRONZE) |
CPUファン | AMD標準CPUファン | AMD標準CPUファン |
保証 | 持込修理保証 1年 | センドバック修理保証 3年 |
その他 | Minecraft Java&Bedrock同梱 | Minecraft Java&Bedrock同梱 |
CPU比較
どちらも『AMD Ryzen5 4500』を採用しています。
Ryzen5 4500はZen3世代のAMD製CPUと同じ時期にZen2世代の構造を再利用して作られた廉価版CPU。その頃からさらに世代は進み、最新はすでにZen5世代となっていますので基本構造の古さからくる低性能は隠しようがありません。さらにゲーミング性能に直接的に影響するL3キャッシュを8MBしか搭載していないため、ゲーミング性能としてもそれほど期待できるものではありません。
実際、グラフィックボードに最新RTX4000シリーズを組みわせた場合はRyzen5 4500の低性能がボトルネックとなってグラボの性能を充分に発揮できないケースが頻繁に見られます。ここで取り上げる10万円以下の2モデルではRTX3050及びGTX1660SUPERといった旧世代のエントリーモデルが採用されているためボトルネックとなること、またそれを感じることはほとんど無いと思いますが、ゲーミングPCとして過度な期待は禁物、と言えるスペックです。
GPU比較
Lightning-G AT5Wで採用されるRTX3050は、GTX1600シリーズが終売となるため乗り換え先として設けられたような立ち位置のGPUで、RTX3000シリーズでは末弟となるエントリースペックのGPUです。
基本性能はGTX1660シリーズと大差ありませんが、RTXシリーズならではのDLSS機能やレイトレーシング機能を使用できる点で多少優れていると言えるでしょう。
NEXTGEAR JG-A5G1Dで採用されるGTX1660SUPERは、1〜2年前までゲーミングPCのエントリーモデルに多く採用されたコスパ重視の人気モデルでしたが、すでに生産を終了しています。
性能的にはゲーム全般をFullHD解像度でひととおりプレイすることは可能ですが、高フレームレートのなめらかなプレイや高画質でのプレイには実力不足を露呈することも多く、描画性能はPS5よりも明らかに低いものになります。
その他パーツ比較
その他のパーツを比較してもほぼLightning-G AT5Wが優勢といえる構成を実現しています。
ストレージに関しては、OSとゲーム数本をインストールした時点で512GBではすでに容量の圧迫を意識する程度。最低限1TBはほしいところです。
電源容量は基本的にシステム全般のトータル電力量をカバーできていれば問題ないのですが、一般的にはシステム電力が同じ場合、電源容量が大きいほうが電源ユニットにかかる負担が相対的に小さくなるため騒音、発熱、パーツ寿命などの面で有利だと言われています。
またUSB接続の周辺機器についても余分に電力を喰うことになるため、少し極端ですが電源容量は余裕があればあるほど良い、と言ってもいいでしょう。
唯一NEXTGEAR JG-A5G1Dが勝っているのが保証期間。
ここは考え方次第なのですが、10万円以下のエントリークラスのゲーミングPCを購入するということはパソコンそのものにもそれほど慣れていない可能性があります。そういった方については保証期間が長い方が安心感が強いと言えるでしょう。
10万円以下のゲーミングPCおすすめモデル
比較の結果、本記事執筆時点(2024年10月〜)ではドスパラの『Lightning-G AT5W』の方がパーツ構成的に有利な点が多く【お買い得である】と言えます。
ただし、ドスパラのコスパ重視のゲーミングブランドであるTHIRDWAVE-G(Lightning-G/Magnate-G)はデビューから間もない新ブランドであるため、現時点ではリリースキャンペーンも込みのお買い得構成になっていると考えられます。今後はメモリやストレージなどの容量変更の可能性もあると思いますし、CPUに採用されるRyzen5 4500の在庫次第では構成変更による値上げなども考えられます。
10万円以下で買えるゲーミングPC自体それほど選べる選択肢は多くないため、購入を検討されるのであれば早いほうが良いかも知れません。
今後のゲームの進化を考慮すれば…
またゲーミングPCとしての最低限の性能を考えるのであれば、購入後2〜3年の継続使用を考慮してもう少し高めのスペックを検討するのも充分にアリな選択肢だと思います。
「Lightning-G AT5W」よりも本体価格は4万円ほど高くなりますが、「Magnate-G MVB」はCPUにIntel Core i5-12400、GPUにRTX4060を搭載したモデルで、Lightning-G AT5Wに比べて価格差以上に満足度が高いゲーミング性能を持っています。ゲーム全般をより不満不足なく快適にプレイできるため、今後数年のゲーム市場の進化や継続使用を考えてもこのあたりを最低ラインに見据えることが本当のおすすめと言えそうです。