1万円台で買えてミドルスペックゲーミングPC向けに最適のRyzen5 2600は3000番台Ryzenの登場でいよいよ取り扱い店舗も減ってきてしまいました。
そして後継のRyzen5 3600は大幅性能アップが魅力とはいえ価格面での1万円アップが結構痛い。
そんなミドルスペックCPUの空席に飛び込んできたのが『Ryzen5 3500』です。
ということで、旧大人気ミドルスペックCPUであるRyzen5 2600と、その正統後継ポジションに座る新ミドルスペックCPUのRyzen5 3500を性能比較してみましょう。
Ryzen5 3500は3600の廉価ver.的立ち位置
比較前にちょっとした前置き。
Ryzen5 3500は、もともと海外ではすでに販売されていたモデルで、この度2020年2月にようやく日本でも販売を開始。
立ち位置は2600と価格もスペックも同等のコスパ重視のミドルスペックCPUと考えて良いでしょう。
なおカタログスペックで 「6コア6スレッドCPU」となっており、 これは3600を元に価格面を抑えるためにスレッド数を半分にしたモデルであると理解して間違いないと思われます。
第3世代(3000番台)RyzenはZen2、7nmプロセスといった新機軸の設計(マニアックな内容なのでくわしくは公式ページでも読んでください)によって旧世代から大幅なスペックアップを果たして人気を博すAMDの主力ラインナップ。
3500の製造設計プロセスによるスペックアップとスレッド数減少によるスペックダウンは旧モデルである2600(6コア12スレッド)との比較でどのような違いを生むのか、非常に気になるところですね。
2600vs3500 各種ベンチマーク比較
さっそくベンチマーク比較の結果に入りましょう。
なお比較は同PCのCPUを挿し替えて行いました。
使用パーツはざっくり以下の通り。
- CPU:Ryzen5 2600 / Ryzen5 3500
- メモリ:16GB
- GPU:RTX2060SUPER
およそ10万円前後で構成可能なミドルスペックゲーミングPCといったところ。
CINEBENCH 20
CPUのベンチマークとしてポピュラーなCINEBENCHでは、マルチコア性能とシングルコア性能の2点を比較。
マルチコア | シングルコア | |
Ryzen5 2600 | 2750pts | 389pts |
Ryzen5 3500 | 2587pts | 469pts |
結果、マルチコア性能では12スレッドの2600が僅かに優勢(約6%差)。
しかしながらシングルコア性能では7nmプロセスの3500が大幅に上回る数値(約20%差)を叩き出しました。
第2世代と第3世代の差、およびスレッド数の差が正直に数値に出た印象です。
PCMARK10
続いてPCMARK10。
こちらはアプリケーションの実行に係るPCの総合力を測るベンチマークテストです。
TOTAL | Essentials | Productivity | Digital Content Creation | |
Ryzen5 2600 | 5345 | 8047 | 6603 | 7801 |
Ryzen5 3500 | 5809 | 8546 | 7575 | 8221 |
こちらのテストでは全面的に3500が優勢。
全ての項目で約5%~10%のスペックアップという結果が出ています。
ベンチマークソフトそのもののクセや傾向がシングルコア性能で大幅に勝る3500寄りにプラスに働いたようなイメージでしょうか。
3DMARK
続いては3DMARK。
DirectX 12を用いた3D性能を計測するベンチマークテストです。
TOTALスコア | GPUスコア | CPUスコア | |
Ryzen5 2600 | 8208 | 8914 | 5666 |
Ryzen5 3500 | 7769 | 8705 | 4830 |
GPUスコアは計測誤差だと思われますが、CPUスコアで約17%程度2600がリードする形となりました。
総合点では約5%程度の差に収まってはいますが、マルチスレッド性能の影響が高く出た感じでしょうか。
FF15ベンチ
最後はゲームベンチとしては定番のFF15ベンチマーク。
比較対象がミドルスペックゲーミングPCということで、1080p標準画質で比較しています。
SCORE | |
Ryzen5 2600 | 10697 |
Ryzen5 3500 | 11008 |
可もなく不可もなく、といったところでしょうか。
3500が僅かに上回る結果ですが、ほぼ同程度の結果と言って良いでしょう。
3500vs2600 比較寸評
数値で見る結果は先の通りで、大きな性能差はありませんでした。
マルチコア性能で勝る旧型2600とシングルコア性能で勝る新型3500ではその特性によって若干の得意分野は違ってくるものの、総合力ではほぼどちらも同程度の性能。
従来の常識では『ゲーミング性能はシングルコア性能で勝る方が有利』とよく言われていますが、最近ではタイトルによってマルチコアマルチスレッドに最適化されているケースも多々見受けられますので正直どちらも大差なしと思って良いでしょう。
そうなってくると価格面の推移も気になるところで、2020年3月現在はどちらも12,000円~15,000円程度と実売価格も似通っていますが、在庫が枯れるまでは若干2600の方が安く手に入るのでパーツ単位で購入する場合は2600を探して入手するのも手でしょう。
組み込み済みのPCとして購入する場合は、BTOメーカーのゲーミングPC各モデルではすでに3500搭載モデルがミドルスペックラインナップの中心になっており、価格と性能のバランス面で抜群のパフォーマンスを発揮して売り上げ上位を独占しています。
初級~中級までのゲーミング用途でこれに勝る選択肢はないといってもいいですね。