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2025年下半期 AIパソコン購入ガイド:ビジネスで選ぶべきは「NPU」か「グラボ」か?

AI

2025年、「AI PC」が普及し、ビジネス導入が進んでいます。しかし「Intel」「AMD」「Snapdragon」各社の性能指標「TOPS」は分かりにくいものです。

そこで、ビジネスユーザー向けに最新動向と賢い選び方を解説します。最大のポイントは、ノートPCとデスクトップPCでAI性能の考え方が「全く異なる」という点です。


ノートPC市場:「NPU 40 TOPS」を巡る三つ巴の戦い

まず、持ち運ぶことが多いノートPCから見ていきましょう。

ノートPC市場のAIトレンドは、Microsoftが提唱する「Copilot+ PC」の基準を満たすかどうかに集約されています。この核心が「NPU単体で 40 TOPS以上」の性能を持つことです。

NPU (Neural Processing Unit): AIの計算を専門に、素早く効率的に処理する「AI専用の頭脳」。

TOPS (Tera Operations Per Second): 1秒間に何「兆」回、AIの計算ができるかを示す性能指標。数値が大きいほど高性能。

このNPUは、クラウド上の大規模LLM(生成AI)を動かすものではなく、OSやアプリに組み込まれたAIアシスト機能をローカル(PC上)で実行するために使われます。例えば、Web会議の高度な背景ぼかしやノイズ除去、メール作成の補助、OSの検索機能強化など、日常業務を効率化する補助的な役割を担います。

この「40 TOPS」のラインを巡り、主要3社が激しい競争を繰り広げています。

ノートPC向け 最新AIプロセッサ比較

メーカー最新プロセッサNPU性能 (単体)特徴
AMDRyzen AI 300 シリーズ50 TOPS新設計「XDNA 2」を採用。
IntelCore Ultra 200V (Lunar Lake)48 TOPS新NPU 4を搭載し、Copilot+ PC要件をクリア。
QualcommSnapdragon X Elite45 TOPS現行のCopilot+ PCの主流。電力効率も強み。

2025年前半はSnapdragon X Elite (45 TOPS) が市場をリードしました。しかし、すぐにAMD (50 TOPS) とIntel (48 TOPS) が新モデルを投入しました。ビジネスユーザーにとっては、どのメーカーを選んでもCopilot+ PCの基準を満たす高性能なAIノートPCが手に入る状況です。


デスクトップ市場:AIの主役は「グラボ」

一方、オフィスに据え置いて使うデスクトップPCの事情は、ノートPCと全く異なります。

結論から言うと、ハイエンドのデスクトップPCにおいて、NPUの性能は最優先事項ではありません

なぜなら、デスクトップPCには、AIの学習や高負荷な推論処理を実行できる、強力な「dGPU(独立したグラフィックボード)」を搭載できるからです。

dGPU (discrete GPU): 一般的に「グラボ」と呼ばれる、CPUとは独立した高性能な画像処理・計算装置。NVIDIAのGeForce RTXやAMDのRadeonシリーズが有名です。

AI処理の「主役」がグラボであるため、各社のNPUに対する姿勢も異になっています。

  • AMD (Ryzen 9000 シリーズ) の判断
    • NPU性能: 0 TOPS
    • AMDは「デスクトップのAI処理は高性能グラボが担う」という判断から、最新のハイエンドCPUにはNPUを搭載していません
  • Intel (Core Ultra 200S シリーズ) の判断
    • NPU性能: 13 TOPS (限定的)
    • IntelはNPUを搭載しましたが、ノートPC向け (48 TOPS) と比べて性能は大幅に抑えられています。これは、NPUがOSの補助的なAIタスク(Web会議の背景ぼかし等)を担い、メインのAI処理はグラボに任せるという役割分担を想定しているためです。

ビジネスPC選びの「結論アドバイス」

ここまでの動向を踏まえ、ビジネス用途でAI PCを選ぶ際の「結論」をアドバイスします。

1. 【ノートPC】を導入したい場合

「Copilot+ PC」の認定を受けているモデルを選びましょう。
これが、前述したAIアシスト機能をローカル(PC上)で快適に動かすための「お墨付き」になります。 2025年後半の時点では、Snapdragon X Elite (45 TOPS)、AMD Ryzen AI 300 (50 TOPS)、Intel Core Ultra 200V (48 TOPS) のいずれかを搭載したモデルが、その基準を満たしています。

2. 【デスクトップPC】を導入したい場合

CPUのNPU性能は、ほぼ気にする必要はありません。
AMD (NPU 0 TOPS) でも、Intel (NPU 13 TOPS) でも、AIアシスト機能の利用においてビジネス上の大きな差は出にくいでしょう。 もし、AIによる画像生成、データ分析、プログラミング支援などで本格的なAI性能が必要な場合は、NPUの性能を気にするより、NVIDIA GeForce RTXなどの「高性能なグラフィックボード」に予算を回してください。デスクトップAIの性能は「グラボ」で決まります。


今後の注目点:止まらないTOPS競争

AI PCの進化は止まりません。 Qualcommは早くも次世代の「Snapdragon X2 Elite」を発表し、そのNPU性能は「80 TOPS」に達するとしています。ノートPCでのAI性能競争はさらに加速していくでしょう。

ビジネスユーザーは、この「ノートPCはNPU、デスクトップはグラボ」というAI性能の「主役」の違いをしっかり理解して、自社の業務に最適なPCを選んでください。

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