「少し待てば安くなるだろう」
自作PCやBTOパソコンの購入において、その経験則はもう通用しないかもしれません。
2026年に入り、PCパーツ市場は異例の事態に直面しています。CPU、メモリ、SSD、あらゆる主要パーツが右肩上がりで高騰を続けているのです。今回は、過去1年間の価格データを振り返りながら、なぜここまで高くなってしまったのか、そして私たちはいつ買うべきなのかを解説します。
データで見る「異常事態」。この1年で何が起きた?
百聞は一見に如かず。まずは、自作PCユーザーにとっての「標準スペック」とも言える、M.2 SSD (2TB) と DDR5メモリ (32GB) の過去1年間の価格推移グラフをご覧ください。
ご覧の通り、きれいな右肩上がりです。
- SSD (2TB): 16,800円 → 28,900円 (約72% UP)
- メモリ (32GB): 15,400円 → 24,800円 (約61% UP)
1年前であれば、SSDとメモリを合わせても3万円ちょっとで買えましたが、現在は5万円を超えてきます。この差額2万円があれば、CPUをワンランク上げたり、電源ユニットを最高級品にできたはずです。
なぜこんなに高いのか? 元凶は「AI」にあり
この値上がりの原因は明確です。「AIバブルによる供給不足」です。
- HBM(広帯域メモリ)への集中:NVIDIAのAI GPUに使われる「HBM」という特殊なメモリを作るために、メモリメーカー(Samsung, SK hynix, Micron)は製造ラインを総動員しています。結果、私たちが使う「普通のDDR5メモリ」を作るラインが削られ、供給不足に陥っています。
- データセンターがSSDを買い占め:AI学習には膨大なデータが必要です。そのデータを保存するために、世界中のテック企業がSSD(NANDフラッシュ)を奪い合っています。コンシューマー向けの優先順位は下がる一方です。
- 止まらない円安:これに加えて、2026年も続く円安基調が輸入価格を押し上げています。
「安くなる時期」は来るのか?
残念ながら、業界アナリスト(Gartner/IDC等)の予測でも、「2026年中に価格が下落する要因が見当たらない」というのが一致した見解です。
むしろ、2026年後半には次世代GPUやWindowsの新機能実装に伴い、さらに需要が増えることが予想されます。
結論:必要な時が、一番の買い時
「来月には下がるかも」という淡い期待は捨てたほうが良いでしょう。今のトレンドを見る限り、来月はさらに数千円上がっている可能性の方が高いです。
- BTO派の方: 今行われている「決算セール」や「新生活応援キャンペーン」は、現在の価格水準で買える最後のチャンスかもしれません。
- 自作派の方: ストレージやメモリは、必要最低限ではなく「将来使う分」まで今のうちに確保しておくのが賢い自衛策と言えます。
「今必要なら今買う。」という心構えでPC購入を検討しましょう。
