2025年現在、高性能PCに求められる役割は大きく変わりました。最新ゲームを最高設定でプレイする「ゲーミング性能」はもちろんのこと、画像生成やプログラミングを加速させる「ローカルAI性能」が、新たな指標として注目されています。
本稿では「ゲーミング性能」と「ローカルAI性能」の2つの最重要ミッションを高いレベルで両立するドスパラのハイスペックノートPC、GALLERIA「ZL7C-R57-6A」と「ZL9C-R57T-6A」を取り上げ、その用途と性能差を解説します。
CPUとGPUの性能差
両モデルのスペックの違いは、PCの頭脳であるCPUと、ゲーム・AI性能の要であるグラフィックス(GPU)、そしてそのGPUが使えるVRAM(ビデオメモリ)容量にあります。
GALLERIA ZL7C-R57-6A | GALLERIA ZL9C-R57T-6A | |
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CPU | Core Ultra 7 255HX | Core Ultra 9 275HX |
GPU | GeForce RTX 5070 LaptopGPU | GeForce RTX 5070 Ti LaptopGPU |
VRAM | 8GB | 12GB |
共通 | メモリ32GB, 1TB Gen4 SSD, 16.0インチ WQHD液晶 | メモリ32GB, 1TB Gen4 SSD, 16.0インチ WQHD液晶 |
ZL9C-R57T-6Aはより高性能なCPUとGPUを搭載し、特にAI活用で大きな差を生む1.5倍のVRAMを持っています。この違いがゲームとクリエイティブの現場でどのような体験の差につながるのか、詳しく見ていきます。
LaptopGPUの性能
ノートPCに搭載されるLaptopGPUは、同じナンバリングでもデスクトップ用のGPUとは性能が異なります。これはノートに搭載するために小型化及び省電力化、発熱対策などの設計が為されているため。
基本的な性能比較の参考として、ここではPassMarkのベンチマークスコアを見ていきます。
GPU性能の指標は多々ありますが、仮にこのベンチマークスコアをGPUの基本性能を大雑把に表しているものとすると、RTX5070Ti及びRTX5070に関してLaptopGPUはデスクトップ版のおよそ70%の性能を有している、ということが言えます。
VRAM容量とAI性能
VRAMとはGPUに搭載されるグラフィックス処理の専用メモリを指します。GPUには各種コア数やメモリ帯域幅など性能差を示す要素が数々ありますが、VRAMもそのひとつでグラフィックス処理の速度やパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。
また最近では、AI活用分野においてもVRAM容量がGPU性能を示す重要な指標として用いられるようになりました。
VRAM容量比較
モデル | Desktop | Laptop |
---|---|---|
RTX 5090 | 32GB | 24GB |
RTX 5080 | 16GB | 16GB |
RTX 5070 Ti | 16GB | 12GB |
RTX 5070 | 12GB | 8GB |
RTX 5060 Ti | 16GB or 8GB | ― |
RTX 5060 | 8GB | 8GB |
RTX 5050 | 8GB (GDDR6) | 8GB |
2025年現在、ローカル環境でAIを稼働させるには、LLM、画像生成AI共に
▶VRAM 8GB・・・最低ラインとされることが多い。入門用のスペック。
▶VRAM 12GB・・・最低~推奨ラインとして設定されることが多い。
といったスペックイメージになります。
さらに高性能なモデルを動かすには16GB~、24GB~、32GB~といったより大きなVRAMが必要になります。
CPU(NPU)のAI性能
Core UltraシリーズはNPUと呼ばれるAI処理に特化したプロセッサを搭載しています。
ただしその性能は高性能GPUが行えるAI処理に比べればまだまだ非力であり、用途を限定したSLM(Small Language Model)などの補佐的な役割に限定されます。
またAIを使用したアプリケーションの中でもNPUに対応したものはまだ多いとはいえず、これからの各種アプリの対応、拡充が期待されるところです。
ローカルAI活用に於いては現状ではGPUが主役であり、CPU(NPU)よりもGPUの性能差を重視してPCを選ぶことを重視した方が良いでしょう。
GALLERIA「ZL7C-R57-6A」と「ZL9C-R57T-6A」の用途と立ち位置
ここまで解説して来た内容を踏まえると、この2機種は
ゲーミング性能が非常に高く最新ゲームをかなり快適にプレイできる。
ローカル環境でのAI活用に於いては入門機+αレベルの性能を有している。
ということが言えます。
これ以上の性能を望むのであれば、素直に排熱や消費電力などの制約が少ないデスクトップPCを選ぶことを推奨します。
そういった意味で、現実的に扱えるノートPCの中ではかなりハイスペックなノートPCであると言えるでしょう。