「高性能」&「国産PCの安心サポート」に「高コスパ」まで謳うマウスコンピューターの新ゲーミングPCブランド『NEXTGEAR』はなぜ安いのか。
NEXTGEARのパーツ構成や、同じくマウスコンピューターのゲーミングブランド『G-Tune』との比較をしながら分析してみます。
NEXTGEARとは
2023年7月にマウスコンピューターが立ち上げたゲーミングPCのオンライン販売限定の新ブランドです。
マウスコンピューターには既に高性能ゲーミングPCブランド「G-Tune」がありますが、新たに立ち上げられた「NEXTGEAR」はさらに『高コスパ』のコンセプトで差別化。買いやすい低価格ながら高性能、さらにデザイン性も重視した国内生産マウス品質のゲーミングPCブランドです。
NEXTGEARのパーツ構成比較
デスクトップの最安構成モデル、およびノートPCの最安構成モデルのパーツ構成を例にしてみます。
デスクトップ:NEXTGEAR JG-A5G1D
NEXTGEAR JG-A5G1D | G-Tune DG-A5G1D | |
---|---|---|
OS | Windows 11 Home 64ビット | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | AMD Ryzen5 4500 (6コア/12スレッド 3.6~4.1GHz) | AMD Ryzen5 4500 (6コア/12スレッド 3.6~4.1GHz) |
GPU | GeForce GTX1660 SUPER | GeForce GTX1660 SUPER |
メモリ | 16GB (8GB×2 DDR4-3200) | 16GB (8GB×2 DDR4-3200) |
ストレージ | 512GB NVMe SSD | 512GB NVMe SSD |
電源 | 500W 80PLUS BRONZE | 500W 80PLUS BRONZE |
マザーボード | AMD B550 チップセット (MicroATX/DDR4/M.2スロット×2 /SATA6Gbps対応ポート×6) | AMD B550 チップセット (MicroATX/DDR4/M.2スロット×2 /SATA6Gbps対応ポート×6) |
LAN | 10/100/1000BASE-T GigaBit-Ethernet LAN | 10/100/1000BASE-T GigaBit-Ethernet LAN |
無線LAN | – | Wi-Fi 6E対応 IEEE 802.11 ax/ac/a/b/g/n準拠 Bluetooth 5内蔵 |
ケース | ブラックミニタワーケース 強化ガラスサイドパネル (ケースファン前面×1/背面×1 搭載) | ブラックミニタワーケース (ケースファン背面×1 搭載) |
保証 | 3年間センドバック修理保証 24時間×365日電話サポート | 3年間センドバック修理保証 24時間×365日電話サポート |
価格 | ¥99,800 | ¥139,800 |
例としてNEXTGEARのデスクトップ最安構成と同じCPU/GPU構成のG-Tuneを比べた結果、両者ともにパーツ構成はほぼ一緒で、違う点は無線LANとPCケースくらい。それでいて価格はNEXTGEARが約40,000円も安いという結果になっています。
無線LANに関して言えば、FPSや格ゲーなどオンライン対戦を主としたゲームをプレイする場合は無線LANよりも有線LANの安定性のほうが重要だということが世間一般に知られている通り、デスクトップゲーミングPCには無線LANは不要であるとも考えることが出来ます。
そしてPCケースに関しては、デザイン性やメンテナンス性などの数値化しづらいところもありますが、強化ガラスサイドパネルがデフォルトで採用されている点やケースファンが前背面の計2基搭載されている点で、G-Tuneよりもむしろコストがかかっているのではないかと見ることも出来ます。
ノート:NEXTGEAR J6-A5G50GN-A
NEXTGEAR J6-A5G50GN-A | G-Tune P6-I7G50BK-A | |
---|---|---|
OS | Windows 11 Home 64ビット Minecraft: Java & Bedrock Edition for PC付属 | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | AMD Ryzen5 7535HS (6コア/12スレッド 3.3~4.55GHz) | Intel Core i7-12650H (6P-cores/4E-cores/16スレッド ~4.70GHz) |
GPU | NVIDIA GeForce RTX4050 Laptop GPU | NVIDIA GeForce RTX4050 Laptop GPU |
メモリ | 16GB (8GB×2 DDR5-4800) | 16GB (8GB×2 DDR4-3200) |
ストレージ | 256GB NVMe SSD | 500GB NVMe SSD |
LAN | 10/100/1000BASE-T GigaBit-Ethernet LAN | 10/100/1000BASE-T GigaBit-Ethernet LAN |
無線LAN | Wi-Fi 6E対応 IEEE 802.11 ax/ac/a/b/g/n準拠 Bluetooth 5内蔵 | Wi-Fi 6E対応 IEEE 802.11 ax/ac/a/b/g/n準拠 Bluetooth 5内蔵 |
ベースユニット | NEXTGEAR J6(WEBカメラ内蔵) | G-Tune P6(WEBカメラ内蔵) |
モニター | 165Hz対応16型ワイド液晶 (1920×1200/LEDバックライト/ノングレア) | 165Hz対応16型ワイド液晶 (1920×1200/LEDバックライト/ノングレア) |
保証 | 3年間センドバック修理保証 24時間×365日電話サポート | 3年間センドバック修理保証 24時間×365日電話サポート |
価格 | ¥124,800 | ¥199,800 |
NEXTGEARのノートPC最安構成と、同じGPUを採用したG-Tuneのモデルを比較した結果でもNEXTGEARの価格設定が大幅に低く設定されていることがわかります。
スペック面で言えばNEXTGEARはAMD Ryzen5、G-TuneがCore i7を採用しており、基本的なCPU性能ではG-Tuneが若干上回っていると言えるでしょう。メモリの規格に関してはNEXTGEARのDDR5の方が規格として新しく高速ではありますが、これはCPUの対応規格に合わせたもので、この点だけで大きく性能差が生じることはそれほどありません。
ストレージに関してはNEXTGEARがG-Tuneの約半分の容量となっていますが、購入時のカスタマイズで500GBに増量したとしても価格的にはまだNEXTGEARの方が大幅に安くなるでしょう。
NEXTGEARが安い理由
NEXTGEARが安い理由は大きく分けるとおそらく2点。
まず1点目は、パーツ構成の主軸にAMDを採用している点が挙げられます。
CPUの2大シェアはIntelとAMDで、ゲーミングPCにおけるシェア率はIntelが約7割。AMDはRyzenシリーズの躍進以降大きくシェアを伸ばしておりすでに性能面での差はありませんが、価格面では同等性能で比較した場合にまだAMDの方が若干安く設定されることが多いため、Intel製に特段のこだわりが無い場合はAMDを採用することでコストを低く抑えることができます。もちろんソフトウェアの最適化に関してもAMDが劣ることは無く、AMD製のCPUを使用しているからと言って不便や不都合を感じることは一切ありません。
GPUに関して言えばAMD Radeonシリーズは未だ1割程度のシェアしかなく、NVIDIA GeFroceシリーズが性能面でもシェアの面でも大きくリードしています。ベースとなる性能が同じだとしてもNVIDIA GeFroceシリーズのDLSS技術に代表されるような特殊技術へのソフトウェアの最適化の面で差が出る可能性が高いため、スペック面で選ぶならNVIDIA GeFroceシリーズ、コストで選ぶならAMD Radeonシリーズという棲み分けで理解しても間違いではありません。
これらの事情を踏まえたうえでNEXTGEARは上位ブランドであるG-Tuneとの棲み分けのためにAMD製のCPU及びGPUを積極的に採用することで価格を安く抑えているようです。
次に2点目は、NEXTGEARをオンライン販売限定ブランドとしている点が挙げられます。
オンライン販売に絞ることで店舗在庫を持つ必要が無く、BTOの特徴でもある受注生産に合わせて最小限の管理コストに抑えることで販売価格を安く設定できていると考えることが出来ます。
主な理由としては上記の2点ですが、最後に付け加えるならば、あくまで予想ですがNEXTGEARは2023年に立ち上げたばかりの新ブランドであるためイメージ定着のためにかなり安めの価格設定にしている可能性があるのではないかと思います。
このページで比較した2モデルのパーツ構成を見る限り、パーツ構成の差以上に本体価格の差が大きく開いているように見受けられることがその理由です。もしそうならば、もしかしたら今後G-Tuneとの価格差はもう少し狭まっていくことも考えられるため、特価設定されている今がものすごくお買い得と捉えることも出来るでしょう。
いずれにせよNEXTGEARが安い理由はパーツ選定と販売コストの工夫によるものであり、PCとしての性能面で劣るものではないということです。国内生産のマウスコンピューターでアフターサービスも変わらず受けられる安心感と高性能を安価で展開する新ブランド「NEXTGEAR」に今後も注目です。