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【2025年市場分析】PCメモリ価格が高騰中!? 理由と推移状況まとめ

AI

2025年現在、パソコン用メモリの価格がじわじわと、時には急激に上がっています。「買おうと思っていたら、先月より数千円も高い」という経験をすることも珍しくありません。

この記事では、なぜ今これほどメモリが高いのか、その根本的な原因と、今後の価格の見通しについて詳しく解説します。

※2025年の市場データを基にした32GBキット(16GB×2枚)の平均価格推移イメージ

1. 最大の原因は「AI特需」による工場の取り合い

結論から言うと、AIブームが私たちのパソコン用メモリを圧迫しているのが一番の理由であると考えられます。 半導体メーカーは今、普通のパソコン用メモリよりも、AIサーバーに使われる高性能なメモリを作るのに必死になっています。

もっと詳しく:なぜAIがPCメモリを圧迫するのか?

キーワードは「HBM(広帯域メモリ)」です。
生成AIを動かすGPU(NVIDIAのH100など)には、HBMという特殊で非常に高価なメモリが大量に必要です。SamsungやSK Hynixといった大手メーカーは、利益率が圧倒的に高いこのHBMの生産を最優先にしています。

生産能力の「共食い」が起きています。
HBMを作るには、通常のメモリの約3倍もの生産スペースと手間がかかると言われています。つまり、HBMを1つ作るために、普通のメモリ3つ分の生産ラインを潰さなければならないのです。これにより、私たちが使う普通のメモリ(DDR5など)の生産数が物理的に減らされてしまい、世界的な品不足=価格高騰につながっています。

2. 定番ブランド「Crucial」が撤退

自作PCユーザーにとって衝撃的なニュースが飛び込んできました。 信頼性とコスパの良さで長年愛されてきたMicron社のブランド「Crucial(クルーシャル)」が、一般消費者向けの販売を終了するというのです。

これにより市場では「最後のCrucial製品」を求める駆け込み需要が発生しており、価格上昇に拍車をかけています。

【もっと詳しく】Micron撤退のスケジュールと影響

2025年12月3日に発表された公式情報に基づく詳細です。

  • 公式発表 Micron Technologyは、Crucialブランドのコンシューマー向け事業(メモリ・SSD)からの撤退を正式発表しました。
  • 終了時期 2026年2月をもって出荷を完全に終了します。以降、店頭在庫のみとなります。
  • 理由 企業向け(エンタープライズ)およびAIサーバー向け事業へリソースを完全集中させるためです。
  • 市場への影響 Crucial製品は市場の基準価格(ベンチマーク)となっていたため、安価で高品質な選択肢が消滅します。代替となるADATAやTeamなどの他社製品も、競合不在により値上げ傾向にあります。

3. 新旧規格(DDR4 vs DDR5)の複雑な事情

「新しい規格(DDR5)が高いのはわかるけど、古い規格(DDR4)なら安いはず」と思うかもしれません。しかし、今回はその常識が通じない異常事態が起きています。

DDR5(最新規格)の動向

こちらはAIサーバーとの競合をモロに受けており、供給不足による素直な値上がりが続いています。特に高速なモデルほど手に入りにくくなっています。

DDR4(旧規格)の動向

実は、古いDDR4も安くなっていません。それどころか、時期によっては新しいDDR5よりも高くなってしまう「逆転現象」すら起きています。

【もっと詳しく】なぜ古いDDR4が値上がりするの?

メーカーによる「減産」の影響です。
メモリメーカー各社は、「もうDDR4の時代は終わらせて、DDR5に完全移行したい」と考えています。そのため、DDR4の生産ラインを意図的に減らし、DDR5やHBMのラインに作り変えています。

しかし、市場にはまだDDR4を使う古いPCがたくさん残っており、修理や増設の需要は根強くあります。「欲しい人は多いのに、メーカーが作りたがらない」という状況が生まれた結果、市場在庫が枯渇し、プレミア価格のような状態になってしまったのです。これをスポット市場での価格逆転現象です。

【もっと詳しく】2025年6月の「価格逆転」データ

市場データに見る異常な値動きの詳細です。

  • 逆転の瞬間 2025年6月、DRAMチップのスポット取引価格において、DDR4がDDR5の価格を上回る現象が観測されました。一時はDDR4がDDR5の約2倍の価格をつけるケースもありました。
  • 原因 産業機器(ATM、医療機器、車載システムなど)は簡単に最新規格へ移行できないため、供給が絞られた旧規格(DDR4)を業者が高値で奪い合っています。
  • 価格例 かつて4,000円台で買えたDDR4の16GBキット(8GB×2)は、2025年末時点で倍以上の価格で推移しており、コストメリットは完全に失われています。

4. デスクトップ用とノート用の違い

基本的には、デスクトップ用もノート用も中身のチップは同じなので、値動きは連動しています。ただし、お店での価格の変わり方には少しズレがあります。

もっと詳しく:価格反映のタイムラグについて

ノートPC用メモリ(SO-DIMM)は、個人がパーツとして買うよりも、PCメーカーがパソコンに組み込むために大量に契約購入する割合が多い製品です。

そのため、企業間の大口契約価格(コントラクト価格)の影響を強く受けます。市場の価格が上がったとしても、小売店に並ぶパッケージ品の価格に反映されるまでには、デスクトップ用よりも1〜2ヶ月ほどの遅れ(タイムラグ)が生じることがあります。「デスクトップ用が上がったから、来月はノート用も上がるな」という予測が立ちやすい傾向にあります。

5. ノートPCユーザーは要注意

デスクトップパソコン以上に深刻なのが、ノートパソコン用のメモリ(SO-DIMM)です。 特に動画編集などで使う大容量メモリ(64GB以上)は、驚くべきスピードで値上がりしています。

【もっと詳しく】ノート用メモリの暴騰データ

2025年11月時点の秋葉原市場調査データに基づく上昇幅です。

  • DDR5-5600 64GBキット ノート用(SO-DIMM)は、わずか1ヶ月で約30%(7,000円以上)の値上がりを記録しました。
  • 128GBキット さらに大容量のキットでは、1ヶ月で3万円以上価格が跳ね上がり、10万円台を突破する例も報告されています。
  • 背景 最新の「AI PC」やモバイルワークステーションの製造にメモリが優先的に回されており、単体パーツとしての小売在庫が極端に枯渇しています。

結論:どう動くべきか

専門家の予測では、2026年前半まではこの高騰トレンドが続くと見られています。 DellやLenovoといった大手PCメーカーも、年明けからの製品値上げ(15〜20%程度)を示唆しています。

推奨アクション

  • 必要な場合は即決する:「待てば下がる」可能性は今のところかなり低いと考えられます。
  • DDR5を選ぶ:既存環境の延命目的を除けば、新しく買う場合は割高な旧世代DDR4ではなく、割高でも将来性重視でDDR5がをおすすめします。
  • Crucialファンは急ぐ:市場から消える前に確保しましょう。
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